NPO法人子どもの森づくり推進ネットワーク

子森新聞 リレーエッセイ 2010年冬号より

 子森ネットでは、定期的に子森新聞を発行しています。

新聞の最後には、リレーエッセイとして、いろんな方々からメッセージを頂いておりますので、ご紹介します。

 
                      五感
                          東京都・新宿せいが保育園
                                 園長 藤森平司     
  
 私たちは、人としての遺伝子を子孫に残すためには、地球に対して、また、自然に対して、その存在を大切に思うことが必要になります。
 子どもの頃から自然に触れ、自然と遊び、自然を使うことによって養われる感性や想像力が、人や自然に対する「思いやり」や「やさしさ」を持つことにつながり、人と、木や森との関わりを主体的に考えられる豊かな心が育っていきます。こうした経験を通して、知恵と技術を培うことが、自然と人が共存して生きる「持続可能な社会」を生み出す力となっていくのです。また、自然とふれあう遊びは、自然への親しみ感や愛情を醸成させ、人間と自然とのかかわりを知覚させ、物事を学ぶのに最適な方法であることが、脳科学からもわかってきています。
 遊びの中で、見る、聴く、触る、臭いを嗅ぐ、味わうという動作をする度に、脳と神経細胞の連結部分シナプスの効果を増すことがわかっています。森の中では何もしなくともそれだけで心が癒されますが、さらに効果的に森林の力を感じるためには、人間に備わっている「五感」を使うことによって、より明確に実感できます。森の中や周辺で、耳や目、鼻、手足、味覚等の五感のアンテナを研ぎ澄ませて、木々の息吹や風のざわめきを感じることが出来ます。
今回、私の園が参加したどんぐりプロジェクトは、子どもたちにとって森を感じることが出来、五感を刺激する活動です。 まず子どもたちにどんぐりと五感で触れる経験をさせることにしました。
 最初に、ドングリをじっくりと観察します。それは、よく見て、触ってみて、振ってみて、臭いをかいでみたりします。それは、いわゆる「スキンシップ」といわれるものですが、赤ちゃんや子どもがそうしようとするのは、好奇心とか、ものを確かめるという意味もありますが、それを触っているうちに、そのものとの関係性を学んでいきます。そして、どんぐりと遊ぶことで、よりその特性を感じることが出来ます。
 さらに、ドングリ(実際はスダジイ)クッキーを子どもたちと作り味わいました。さまざまなドングリとのふれあいから、新しいものを発見し、興味を抱いたときに、それが子どもたちの育ちへ大きな影響を及ぼしていっているのを実感できます。

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