NPO法人子どもの森づくり推進ネットワーク

「全国集会&研修会2018(福岡大会)」レポート

2018年2月15日(木)、16日(金)の両日で、福岡県北九州市小倉にて、JP子どもの森づくり運動10周年記念の記念講演会と「全国集会&研修会2018(福岡大会)が開催されました。開催にあたっては、今回も、地元の先生たちが実行委員会としていろいろ準備に取り組んでいただきました。おかげ様で、大変充実した大会となりました。あらためて心より御礼申し上げます。

当日の午前中には、記念講演会として、アウトドアタレント清水国明さんの講演会がありました。テーマは、「自然体験活動が子どもに育むこと」。エピソードいっぱいの清水国明さんのお話しを、参加者は熱心に聞いておられました。


午後からは、「全国集会&研修会」です。開会式では、まず、主催者であり実行委員として開催の準備にあたっていただいた「若久青い鳥保育園」の岡村園長先生のごあいさつです。

つづいて、ご協賛企業「日本郵政グループ」から日本郵政 広報部 佐藤葉之様よりごあいさついただきました。

開会式終了後、全国集会が始まりました。まず、子森ネット清水代表による、運営事務局としての簡単な活動報告が行われました。

つづいて、「信州型自然保育認定制度」に取り組んでいらっしゃる長野県より、次世代サポート課 竹内延彦氏より「自然保育が育む人生の根っこ」~信州型自然保育認定制度の理念と展望~と題して基調講演をお願いしました。

竹内さんからは、今の子どもたちの自己肯定感の低さ、それがニートやひきこもりにつながること、さらに、自己肯定感を高めるためには豊富な自然体験活動や生活体験活動によって「非認知能力」を育むことが有効であるという内容で問題提起をいただきました。長野県では、そんな幼児(少)期の自然体験活動を普及するために、「豊かな自然環境や多様な地域資源を活用した屋外を中心とする様々な体験を保育や幼児教育に取り入れる活動」を『自然保育』として、その認証制度に取り組んでいます。現在、この仕組みは、北海道、埼玉県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、広島県等、大きな自治体ネットワークとして広がりつつあります。

その後、竹内さんの基調講演を受けて、「幼児(少)期の子どもの自然体験活動を考える」~「子ども・子育て関連3法(通称:保育3法)」の施行を受けて~をテーマにパネルディスカッションが開催されました。今回は、2018年度より施行される「幼稚園教育要領」「保育所・保育指針」「幼保連携認定型こども園教育・保育要領」の改訂を受けてというということで、幼稚園から「大野幼稚園」藤園長、保育園から「若久青い鳥保育園」岡村園長、、こども園から「ももぞのこども園」今井園長にご参加いただきました。長野県の竹内さんにもオブザバーとしてご参加いただき、子森ネット清水のコーディネイトで、会場を巻き込んで活発な議論が交わされました。

まず、パネラーの園長先生たちから、それぞれの園での自然体験活動の事例報告をいただきました。それぞれすぐれた活動報告でしたが、中でも「ももぞのこども園」さんの動画を使った活動報告は秀逸でした。今井先生の想いが反映した素晴らしい園庭での活動です。「明日も、同じ体験フィールドがある」「ふり返れば、見守る保育者がいる」など、子どもの非認知能力(生きる力)を育むための刺激的なワードもご提供いただきました。

自園での活動を発表する「ももぞのこども園」今井先生

会場の参加者にもご発言いただきました。

滋賀県「崇徳保育園」谷口先生

岩手県「織笠保育園」福士先生

東大阪市「木の実キッズキャンパス」増山先生

東京都「春明保育園」隝田先生

パネルディスカッションは、事例報告を受けて、保育に自然体験活動を取り入れるために障害になることやその対策に議論が展開し、90分の時間があっという間に終了しました。参加者からは、もう少し話しを聞きたかったねという声もいただきました。それぞれの議題への回答は、次回の全国集会までの宿題とするといご提案で終了となりました。


パネルディスカッション終了後、「豊間根保育園」(岩手県)、「新宿こだま保育園」(東京都)、「ももぞのこども園」(大分県)の三園で、JP子どもの森づくり運動が推進する「災害時相互支援協力協定」の第三弾が締結されました。

「ももぞのこども園」今井先生、「新宿こだま保育園」福島先生、「豊間根保育園」福士先生(代理参加)


一日目最後のプログラムは、自然体験講座として、「飯田女子短期大学」幼児教育学科講師の田中住幸先生による、ネイチャーゲーム入門講座です。ネイチャーゲームとは、1979年米国のナチュラリスト、ジョセフ・コーネル氏により発表された、五感を使って自然を直接体験するプログラム(野外活動)です。田中先生独特の世界につつまれた有意義な講座でした。

飯田女子短期大学 田中先生

自然体験講座会場風景

 


二日目は防災研修会です。

今回は、九州での開催ということで、まず、熊本県の「菊池さくら保育園」園長であり、熊本県保育協議会専務理事 本藤潔先生から、「熊本地震を教訓とした自然災害の備えについて」~命を“守る”を考える~と題した基調講演をお願いしました。熊本地震の体験者ならではの反省と教訓いっぱいの生々しいお話しに、参加者は真剣に聞き入っていました。

「菊池さくら保育園」本藤園長先生

そのお話しを受けて、消防庁アドバイザー・(株)タフ・ジャパン代表の鎌田修広さんによる防災講座です。鎌田講師の講座は、テーマの「本当に子どもの命を助けるために」に相応しく、ひたすら実践的な講座です。一人一人の日常での心がけが、いかに防災、減災につながるかが行動の中でつきつけられます。何度聞いても新しいきづきが生まれます。

 

防災講座参加者による記念撮影

 

「全国集会&研修会2018」の閉めのごあいさつは、子森ネット理事である「大野幼稚園」の藤園長にお願いしました。

ご参加いただいた皆さん、お疲れ様でした。また来年お会いしましょう。


オプション講座として、希望者による「北九州市環境ミュージアム」の「北九州地球の道」環境プログラム体験も実施しました。

同プログラムは、「富良野自然塾」の環境プログラムがベースとなっており、インストラクターの向井候太さんは、「富良野自然塾」で研修を受けられたそうです。とても楽しく、有意義なプログラムでした。

2018年10月には、今回の全国集会&研修会につづく、10周年企画第二弾として、「富良野自然塾」の環境プログラム体験ツアーも実施予定です。よろしければご参加下さい。


*参加者からのご意見をまとめたアンケートです。⇒ 参加者アンケート

*日本郵政グループのホームページでも、活動レポートがご覧いただけます。⇒ レポート

 

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